皆さんこんにちは!
ワンニャンキャブの更新担当の中西です!
さて今回は
~基本(ペット輸送編)~
ペットの移動は“荷物運び”ではありません。健康・安全・法令順守・ストレス管理を同時に満たして、初めて「良い輸送」です。ここでは、国内外の移動に共通する“外せない注意点”を、計画〜到着後ケアまで一気通貫でまとめます。
1|全体設計:まず決めるのは「目的・制約・ルート」
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目的:引っ越し/一時帰省/ブリーディング/治療通院など。
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制約:体重・サイズ、犬種(短頭種など)、年齢、持病、ワクチン・マイクロチップ状況、季節(猛暑・厳寒)、出入国条件、航空会社の受託条件。
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ルート:直行便優先、気温が安定する朝夕の発着、乗り継ぎ最小。遅延・欠航時の代替案も必ず用意。
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責任分担:飼い主/動物病院/輸送事業者(ペット輸送会社・航空会社)で“誰が何をいつやるか”を明文化。
2|タイムライン式チェックリスト
4〜8週間前
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健康チェック:既往症・体力・短頭種のリスク評価。必要なら減量や体調の立て直し。
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書類準備:マイクロチップ、ワクチン証明、健康証明(発行から有効日数は運送会社で異なる)、国際なら輸出入許認可・抗体検査・検疫予約。
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クレート選定:後述の条件を満たすIATA基準相当を用意し、毎日慣らす(中で食事・おやつ・就寝)。
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輸送会社選び:見積り比較、温度管理・緊急時対応・24h連絡可否・保険・実績を確認。
1〜2週間前
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慣らし強化:走行音・振動の疑似体験(短距離ドライブ)、クレート内で落ち着けるかを確認。
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食餌計画:移動当日の絶食/少量給餌の方針(獣医指示)を決定。
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迷子対策:首輪・ハーネスのフィット確認、名札+マイクロチップ登録先の住所更新。
48〜72時間前
当日
3|クレート(輸送容器)の絶対条件
基本要件
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サイズ:中で自然に立つ・向きを変える・伏せるができる。頭や耳先・尻尾が天井や壁に触れない。
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強度・通気:金属製ドア、四方に通気孔、外側から開閉できるボルト固定。
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床:滑りにくい吸水性素材+ペットシーツ二重。漏水・嘔吐時に体が濡れ続けない工夫。
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給水:こぼれやすいノズル式は避け、固定できる器や給水ジェルを採用(凍結ペットボトルも保冷兼用)。
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ラベル:名前・種・体重・飼い主連絡先・LIVE ANIMAL表示・上下矢印・特記事項(薬・性格)。書類のコピーも外付け。
サイズの測り方(犬猫の目安)
4|モード別の注意点(車・機内持込・航空貨物)
自家用車
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固定:クレートはシートベルトで固定。助手席エアバッグ前は避ける。
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温度:直射日光を避け、車内放置は厳禁(数分で危険温度)。
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休憩:2時間ごとに換気と水分補給。猫はこまめにトイレを整えると安心。
機内持込(小型)
航空貨物(大型・持込不可サイズ)
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気温規定:猛暑・厳寒時は受託停止(ヒート/コールドエンバーゴ)あり。季節と時間帯を選ぶ。
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短頭種:呼吸リスクが高く原則回避。やむを得ない場合は獣医と最新基準を確認し、気温の低い便を選定。
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鎮静:原則非推奨(呼吸抑制・転倒リスク)。どうしても必要な場合は獣医判断と記録必須。
5|健康と行動の管理
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不安対策:クレート訓練(段階的馴化)+好子(おやつ)で“箱=安心”に条件づけ。
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薬:酔い止め・不安薬は事前に試し、副作用や覚醒遅延がないか確認。
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高齢・基礎疾患:腎疾患・心疾患・てんかんは個別計画。長距離や貨物輸送は原則回避か、区間分割。
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子犬・子猫:体温調節が未熟。保温材・体感温度の維持に注意。
6|種別の要点
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犬:短頭種(フレブル、パグ、ブルドッグ等)は高温多湿が致命的。夏季航空貨物は避ける。興奮しやすい個体は事前トレーニングを厚めに。
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猫:視覚遮蔽で落ち着く。匂い(自宅の布)が有効。トイレは吸水材を厚めに。
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ウサギ:暑さ・湿度に弱い。静音・保冷と滑り防止。
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小鳥:暗所で安心。通気と保温の両立、餌の飛散防止。
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爬虫類:保温・湿度・酸素量を個体に合わせ調整。逃走防止のロック二重化。
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フェレット等小動物:噛み癖対策に金属ドア必須。給水はジェルが安全。
7|国際移動の地雷ポイント(国内でも参考)
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入出国要件:マイクロチップ・狂犬病ワクチン・抗体価・検疫期間など国ごとに異なり更新も多い。“出国国と入国国の双方”で確認。
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書類の有効期限:健康証明の発行から○日以内など締切がシビア。
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トランジット国:乗継だけでも独自要件がある場合あり。
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原本+コピー:紛失対策に3セット。クレート外に1セット、手荷物に2セット。
8|輸送会社(ペット輸送)の選び方
見るべきポイント
レッドフラッグ
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異常に安価/契約書が曖昧/SOPなし
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“夏でもOK、薬で寝かせれば平気”と断言
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体重・サイズを測らずに可否判断する
9|当日の実務メモ
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ハーネス二重化(首輪+ハーネス+二重リード)で脱走防止。
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写真を撮る(全身、特徴、タグ)—万一の探索に即使用。
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マーキング用品(消臭剤・シート・ビニール袋)を機内持込/車内に。
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スタッフ引継ぎ:性格、噛癖、持病、緊急時連絡先、給餌量・投薬時刻を紙でも共有。
10|到着後48時間のケア
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水分補給→少量の食事から。急な大盛りは嘔吐や下痢の原因。
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**静かな“安全部屋”**を作り、来客・大音量・幼児の接触を控える。
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行動観察:呼吸・歩様・粘膜色・便尿・嘔吐・体温。異常ならすぐ受診。
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日常の再構築:散歩時間、給餌タイミング、寝床の香りを“元のルーチン”へ。
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登録更新:マイクロチップ、自治体登録、迷子札の住所・電話。
11|よくある失敗と対策
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“車内は涼しいはず”の思い込み → 直射で急上昇。遮熱+こまめな温度計測。
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クレートがギリギリ → 立てずストレス・事故。余裕寸法を。
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満腹で出発 → 嘔吐・誤嚥。少量または空腹寄り。
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書類の期限切れ → 出発不可に。逆算スケジュールとチェックリスト運用。
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短頭種を夏に貨物 → 高リスク。季節変更・別モードへ。
12|持ち物パックリスト(テンプレ)
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書類(原本+コピー)/常備薬/予備リード・名札/フェロモン製品
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クレート固定具(結束バンド・スペアボルト)/水入れ・給水ジェル
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ペットシーツ・タオル複数/ウェットティッシュ・手袋・消臭剤
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お気に入りおやつ・ブランケット/小型温湿度計・ミニ保冷剤
ペット輸送の本質は、“準備8割・当日2割”。
適切なクレート・温度管理・ルート設計・書類と健康管理・到着後の落ち着かせ方――この5点を丁寧にやれば、多くのトラブルは未然に防げます。