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わんにゃんブログ~part4~

皆さんこんにちは!

ワンニャンキャブの更新担当の中西です!

 

さて今回は

~育成の難しさ~

 

介助犬って、できあがった姿を見ると「なんて賢いんだ…!」って惚れ惚れしますよね。でも、その裏側はなかなかハード。今日は現場目線で、育成の“むずさ”を肩の力を抜いてまとめます。専門用語は最小限、リアル多めでいきます。


1) 「向いてるか」は見た目じゃ分からない

おっとり=適性バッチリ、ではないんです。人混みで動じない胆力、音や匂いに流されにくい集中力、そして“人と組むのが好き”な性格。これらは数ヶ月〜1年以上かけてじわじわ出てくる。最初は優等生でも、成長で性格が変わることだってある。逆に、やんちゃがうまく伸びて花開く子も。

2) 社会化は「百聞は一見」より「百回は一回」

電車、エレベーター、ショッピングモール、病院…行ける場所が多いほど失敗も多い。しかも“1回の怖い体験”が尾を引くことも。毎回の移動がトレーニングで、天気・時間帯・混雑度で負荷も変わる。地味に体力戦です。人間側の機嫌や体調もダイレクトに反映されるので、トレーナーも自己管理が必須。

3) 技能は「できた!」からが本番

物を拾う、スイッチを押す、衣服を脱ぐのを手伝う――タスク自体はロジックで教えられる。でも本当に大事なのは“状況判断”。今日の床は滑る?周りに子どもが走ってない?ユーザーの体調は? 同じタスクでも環境が違えばやり方を変える必要がある。ここが“賢さ”の正体で、時間がかかるポイント。

4) ユーザーとの「相性合わせ」は婚活級

犬の性格、体格、歩幅、仕事のテンポ。ユーザーの生活リズム、住環境、よく行く場所。ここが噛み合うと一気に花丸、ズレるとお互いストレス。しかも、最初は良くても季節や生活の変化で微調整が必要。マッチングは“始まりの儀式”であって、ゴールではないんです。

5) 体も心もメンテが命

介助犬はアスリート。関節、被毛、歯、耳、そしてメンタル。軽い不調でも集中力が落ちるから、ケアの優先順位は常に高め。フードの見直し、休養計画、遊びの質まで含めてチューニング。休ませる勇気もトレーニングの一部です。

6) ルールとマナー、現場は“人間関係”

「店内OKですか?」「触ってもいいですか?」のひと言で世界が変わる一方、無断撮影や過度な声かけで集中が切れることも。施設側の理解もバラバラで、説明→合意→配慮の三段活用が日々必要。犬の訓練だけじゃなく、“人へのコミュニケーション設計”が結構なウェイトを占めます。

7) 途中で“別の道”を選ぶ犬もいる

全員が介助犬になるわけじゃありません。音に敏感、乗り物が苦手、超がつく甘えん坊……理由はさまざま。だからこそ、家庭犬や別分野(セラピーなど)へ進む“セカンドキャリア”の整備が不可欠。「向いてない=ダメ」じゃない、適材適所の発想が大事。

8) お金と人手、きれいごと抜きで重たい

訓練士の人件費、医療・飼育費、移動・環境づくり――コストもマンパワーもがっつり必要。しかも“急がば回れ”が鉄則で、近道は基本ない。支援が増えるほど、犬にも人にも余裕が生まれて質が上がる。ここは社会全体の課題です。

9) 引退後までが育成

働く期間は限られます。引退時期の見極め、受け入れ先、健康管理プラン――最後までハッピーでいてもらうための設計が“育成の完成形”。現役の輝きも、穏やかな余生も、どちらも同じくらい大切。


よくある“現場あるある”

  • 雨の日のショッピングモールは難易度が一段上がる(滑る・匂い・傘の動き)。

  • 「賢い=なんでも我慢できる」わけじゃない。賢いからこそ“我慢しない仕組み”が必要。

  • 成功の秘訣は“休ませ上手”。詰め込むほど効率は落ちる。


私たちにできること(押しつけない3選)

  1. 見かけたらスルースキル:仕事中の介助犬には過度に声をかけない・触らない。ユーザーさんに一言「お手伝い必要ですか?」がベスト。

  2. 受け入れ側のアップデート:店舗や施設での同伴ルール整備、スタッフ研修、小さな配慮の積み重ね。

  3. 支援の形は自由:寄付、パピーウォーカー、周知のシェア、グッズ購入――できる範囲でOK。


時間をかけて“チーム”になる仕事

介助犬の育成は、技と根気と優しさの合作。犬を変えるんじゃなく、“チームとして強くなる”プロセスづくりが肝です。うまくいかない日も、ちいさな成功を積んでいく。派手さはないけど、静かに生活を支える――そんな尊い“むずさ”、一緒に知って、支えていけたら最高ですね